正しく生きる ケーズデンキ創業者・加藤馨の生涯

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  • 岩波書店 (2023年3月24日発売)
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 大仰なタイトルですが、ケーズデンキを創業した加藤肇と彼のファミリー・ヒストリー。また、戦前から東日本大震災頃まで、市井の民として、どう感じ、どう動いたかも描かれています。

 通信隊として終戦を迎え、加藤電機商会としてラジオの修理から創業。松下のナショナルショップへ加盟後、松下以外も扱う量販店へと拡大。ヤマダ電機とコジマの激安戦争「上州戦争」に、カトーデンキ販売(現・ケーズデンキ)も加わった「YKK戦争」を展開し、その後は、ヨドバシカメラ、ビックカメラといったカメラ群も加わった家電量販競争の歴史は、「そういえば、あった、あった」と思い返しました。そのなかにあっても、戦時中で兵士の命が粗末に扱われた経験から、社員に無用な無理をさせない「がんばらない経営」を掲げ、そのため、逆に全国からのFCの申し出で規模を拡大。

 家電販売業界では「お客には三種類しかない」という言葉があるそうです。価格重視の「金に付く客」、続いて販売員重視の「人に付く客」、最後が「店に付く客」で、この順で客をつかむことが商売繁盛のコツだそうですが、読んでいると本当にそうだと思います。

 内容は、創業者の社員重視の考えを中心にしたものであり、437ページの読後は「清涼感」という一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営
感想投稿日 : 2023年7月22日
読了日 : 2023年7月22日
本棚登録日 : 2023年7月22日

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