女王陛下の影法師 ――秘書官からみた英国政治史 (ちくま学芸文庫 キ-34-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2023年2月13日発売)
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感想 : 8
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 2007年の単行本を文庫化。19世紀のヴィクトリア女王からエリザベス女王までの君主に仕えた秘書官の話。文庫化にあたっては、現・チャールズ国王の戴冠式のTV解説を行った筆者だけに、あとがきにて「今」を追記。君主に対しては中正公平に意見を述べ、政府との仲介にもあたった秘書官の動きを通して、自然と近現代の英国政治史が学べるお得な本。文章も読みやすく、別の視点から見た歴史書としても秀逸。

 初版当時、英国連邦(コモンウェルス)には、14か国に25億人もおり、世界人口の30%を占めていたとあり、英国の君主の大変さがよくわかる(エリザベス女王の日課も書かれているが、自分にはとても無理)。とは言いつつ、「王冠をかけた恋」やダイアナ妃、チャールズ現国王の恋バナや、君主と首相の相性からくるゴタゴタ話など、「所詮、人間ですよね」と思わせる逸話も豊富。

 日本には、こうした秘書官はおらず、侍従(長)が中心となって動いているらしく、日英のそうした違いなどもわかってお薦めの一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2023年6月10日
読了日 : 2023年6月8日
本棚登録日 : 2023年6月8日

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