「経営に生かす」とありますが、特に経営に限定したものではなく、易経の考え方を分かりやすく書いた著書と思います。
易経は英語では「The Book of Changes」で、「変化の書」と呼べるのでしょうか。著者の本はほとんど読んでいるのですが、「竹村さん独特の」と書いたのは、易経の「乾為天」という卦で、龍の成長過程についての記述から始まるためです(竹村さんご自身もここに感銘を受けたとあります)。
龍もいきなり高く飛び立つのではなく、「潜龍」となって田に潜みながら志を確立し、師から基礎を学んで「見龍」となり、それを実践しつつも常に反省を怠らない「終日乾乾」の時を経て、「躍龍」として天に昇ろうとし、遂には雲を呼び寄せ恵みの雨を降らせて人々を養う「飛龍」になるというものです。しかし、飛龍も驕り高ぶると雲を従えることができず「亢龍」というくだり龍となって「潜龍」に戻る、という「時の変化」を綴っています。
時は変化するので、時流ではなく、その時にあった対応(これを「時中」と書かれています)をすることが大切で、冬に種を蒔いても無駄であり、尺取虫も伸びるためにはまず縮む時期が必要など、易経の考え方を分かりやすく記述しています。
昨年1年は、個人的に色々とあったのですが、冬の時期は大地を養い、春の種まきに備えることが肝要でジタバタしないというこの著者の言葉には励まされたものです。
陰と陽の捉え方もさまざまに書かれており、「時」について考えるのにはお薦めしたい一冊です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
思想・哲学
- 感想投稿日 : 2021年7月11日
- 読了日 : 2020年7月19日
- 本棚登録日 : 2020年7月19日
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