数学する身体 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2018年4月27日発売)
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本棚登録 : 1427
感想 : 95

高校まで、数学が苦手だった。
なんか理屈っぽいし、計算もキライやし、概念とか定義とかようわからんし、証明とかややこしいし、自分には馴染まないものだと思っていた。

大学に入って文系に進み、数学と離れたことによって、逆にちょっと恋しくなって、一般教養で数学の授業をとってみたり、大人になってからこういった本を読んでみたりしている。

正直あんまりわからなかった。やっぱり自分の数学のレベルが低すぎて、なんというかぴんときていない部分が多かったように思う。(もちろんこの本は数学に明るくない人でも読めるように書かれているけれど。)ひとえに私の理解力の低さによる。。。
でももしかして、もういっかい読んだらもっと理解できるようになるかもしれない。。自分のなかでまだ消化しきれていないけれど、、、でもなんというかヒントみたいなものはいろいろあったように思う。

この本を読んで、数学と身体は切っては切り離せないものなんだとわかる。なんとなく、数学って頭で考えて考えてすることだと思いがちやけども。必ずしもそうではない。
そもそも心はどこにあるのかっていったら、脳だけじゃなくって身体全体にやどっているものだし、身体なくして数学はできない。
数学と計算もまた違うもので、計算は機械でもできるけど、数学は人間しかできない(いずれできるようになるかも…??チューリングはできると思っていた)。
なにがちがうかといったら、それは岡潔によると情緒ってことで、機械に情緒を持たそうと思ったらそれはなかなか難しいだろうな。
情緒っていうのは人間の礎みたいなもので、松尾芭蕉は俳句を通してそれを表現した。岡はそれを数学という方向から探ろうとした。(低理解力)

岡潔の考え方はめちゃくちゃ興味深いなと思った。ちょっとスピリチュアルやとも言えるけども、「自我」と「物質」を中心に捉える現代の人間観、宇宙観に対して新しい人間観、宇宙観を作り直そうとした(p175要約)岡潔、すごいなあと思わざるを得ない。

人間は面白いな。

なんとなく抱いていたクールな数学のイメージを変えるような、美しく温度のある文章だった。
数学でここまで扱えるんか、というおどろき。学問は面白いなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年12月31日
読了日 : 2020年11月28日
本棚登録日 : 2020年11月28日

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