関寛斎という実在の人物の婦人「あい」に焦点を当てた物語。
関寛斎は一介の百姓のせがれから、苦労を重ねて医者となり、徳島藩の藩主の侍医となり、武士の身分を手に入れるまでになった。
そんな寛斎を、陰に日向にただひたむきに支え続けるあいは、江戸時代の女性にしては珍しく、ただ夫に黙って使えるだけではなくて、進路に悩んだり、ためらったりする夫に、きっちりと自分の意見を述べる強い女性。
人々の厚い信頼を得て、士族の身分まで手に入れて、子供たちも立派に育て終えて、ゆっくりするのかと思えば、なんと蝦夷地の開拓に行くという。
無医村に医者として行くというのならわかるが、その老体で、いまさらなぜ鍬を振るわなくてはならないのか・・・
それでも、あいはその考えに賛同して、ついて行くのだ。
二人の、清すぎるそして真っ直ぐすぎる生き方に、私は少し息苦しさを感じた。
人間臭いところがないのだ。
今回はあいの目線で書かれた物語なので、寛斎の思いが今一つ感じられなかったが、寛斎については、徳富蘆花や司馬遼太郎が書いているらしいので、機会があればそちらも読んでみたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年2月27日
- 読了日 : 2014年2月27日
- 本棚登録日 : 2014年2月27日
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コメント 2件
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2014/02/27
カレンさんのコメント
2014/02/28