あい

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2013年1月9日発売)
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本棚登録 : 683
感想 : 119
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関寛斎という実在の人物の婦人「あい」に焦点を当てた物語。
関寛斎は一介の百姓のせがれから、苦労を重ねて医者となり、徳島藩の藩主の侍医となり、武士の身分を手に入れるまでになった。
そんな寛斎を、陰に日向にただひたむきに支え続けるあいは、江戸時代の女性にしては珍しく、ただ夫に黙って使えるだけではなくて、進路に悩んだり、ためらったりする夫に、きっちりと自分の意見を述べる強い女性。
人々の厚い信頼を得て、士族の身分まで手に入れて、子供たちも立派に育て終えて、ゆっくりするのかと思えば、なんと蝦夷地の開拓に行くという。
無医村に医者として行くというのならわかるが、その老体で、いまさらなぜ鍬を振るわなくてはならないのか・・・
それでも、あいはその考えに賛同して、ついて行くのだ。
二人の、清すぎるそして真っ直ぐすぎる生き方に、私は少し息苦しさを感じた。
人間臭いところがないのだ。

今回はあいの目線で書かれた物語なので、寛斎の思いが今一つ感じられなかったが、寛斎については、徳富蘆花や司馬遼太郎が書いているらしいので、機会があればそちらも読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: お気に入りの作家さん
感想投稿日 : 2014年2月27日
読了日 : 2014年2月27日
本棚登録日 : 2014年2月27日

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コメント 2件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2014/02/27

「私は少し息苦しさを感じた。」
高田郁の作品は、どれも生真面目。。。

カレンさんのコメント
2014/02/28

nyancomarusさん、お久しぶりです(^_^.)
>高田郁の作品は、どれも生真面目。。。
 わかっております。わかっております  が・・・もうちょっと肩の力を抜いてほしい、寛斎とあい。

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