ジョゼを取り巻いているのは、暗くて現実離れしてる異世界。
ジョゼは不幸な人魚姫。
ジョゼは足が不自由で、貧しくて、身寄りはおばあさんしかいない。
そして、おばあさんは「壊れモノには壊れモノの分がある」とジョゼを狭い世界に押し込めている。
ジョゼはめちゃめちゃ魅力的なんだけど、とても危うい。
「うち好きや。あんたも、あんたの することも。」
ジョゼは、大阪の下町の言葉を使う。
最近の若い女の子が使うようなかわいい大阪弁じゃない。
危うさは、言葉や態度だけでなく、服装にも現れている。
上野樹里が演じる彼女がシンプルでかわいい服を着ているのに対し、ジョゼがおでかけする時はふりふりでデコラティブで夢見がちなお洋服を着ている。
恒夫はお姫様を助けようとするのだけど、力が足りなさすぎて、救えない。
誰かを救うことなんか簡単にできないのに、人は愛する人を救いたい、自分じゃないと救えないって思ってしまうのは、どうしてなんだろう。
そして、その救いたいという思いが、二人の関係を破綻させてしまう。
恒夫が離れていった後、ジョゼは自立する。
恒夫がいないと移動できなかったジョゼが、電動車いすを使って一人で移動するようになる。
最後のジョゼの表情は、妙に大人びていた。結局、恒夫は、恒夫が不在になることで、彼女を救ったんだ。
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この映画、物語の前半と後半が鏡のように対象になっている。
ただ、前半はどんどん二人が結びついているのに対し、後半はどんどん二人の気持ちが離れていく。
ある出来事がきっかけで気持ちが縮まったのに、その後、似たような出来事で、気持ちがどんどん離れていく。
この繰り返しがとても辛い。同じことを繰り返すことで、あの近づいた気持ちを取り戻せたらって期待してしまうから。
美しくて、とても痛々しい恋愛映画だった。
- 感想投稿日 : 2011年2月10日
- 読了日 : 2010年12月17日
- 本棚登録日 : 2011年2月10日
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