おもしろかった。
お庭番、とゆー言葉に忍者的要素を期待していたのだが、
よく表紙をみろ、自分、そんな要素一切ないだろ~~!
とゆーわけで、純粋にお庭番、植物のお話でした。
シーボルトの薬草園に雇われた熊吉。
そうそう盛り上がり、とゆーかこれといって事件があるわけでもないのだが、熊吉の生い立ちであったり、その心情であったり、
先生のやぱんにむける眼であったり、ふいにはっとさせられるような、
いろんなもんが積み重なった感じで、淡々とではあるものの
熱く、読める。
熱さは、熊吉の植物への愛情だったり、奥方の先生に対する愛情だったりするのかも。
先生のやぱんに対する愛情も熱いのだけれど、
時にひやりとする冷酷さが混じる。虫の音についての話、はシーボルトの話としてでなく聞いたことがあったけれど、ここでそーゆー話を入れてくるのは上手いなあっと思う。
気がつかないけれど、でも決定的な違いがある、という現実。
まあ、それもいつかは埋まるのかもしれないけれど。
あの性根の悪い若旦那はさいあくだったな。
でも泣きマネする熊吉はなかなか賢い。
だからこそ、先生はその手にそれなりのものを掴んでください、と言ってのけられる熊吉が、いいなあっと思った。まあ腹を切るはめになった方は
たまったもんじゃないが・・・。
無残に枯らされたものを嘆きつつも、
それでもなお生きるものに美しくあって欲しいと願う。
先生は熊吉にとって特別な花だったのかも。
裏切られた、という感覚を持つ人もいただろう。
ただ熊吉は植物を通して先生と向かい合っていたから、
それを慈しむ心は本当だとどこかで分かっていたから、
最後まで恨んだり、ということはなかったのかも。
でも、やっぱり私はこーゆー人はあんま好きじゃないな。嘘の中に本当があったのだとしても。
- 感想投稿日 : 2013年7月18日
- 読了日 : 2013年7月18日
- 本棚登録日 : 2013年7月18日
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