私も山にのぼる。
『◯月の◯日間』でまとめられた章で取り上げられるのはどれも有名な人気ルート。
日記のような気楽な文章で人の山日記を拝見しているような親近感と、自分も歩いたことのあるコースも多く、その時の山行・風景を思い出し山に行きたくなる。
ただ、、山に行く時は予めすごく調べるし、コースを決めておかず、その時の体調で決めよう、なんてことは絶対あり得ない(少なくとも私の場合は。エスケープルートを用意するのとは別) もちろんそれでも予想外のこと、計画通りにいかないことはあるけれど、それを出来るだけ排除できるようにする。
”人生、何があるかわからない“、“運命の導き”という話ではない。山とはそういうところ、街歩きじゃない、自己責任の世界。(だと思っている)
そこがすごく残念。他がちゃんと細かくてリアルなだけに、違和感がある。
あとがきで山に登らない著者だと判って納得。
著者も、初心者の方はこれを読んで自分も行けると思わないでほしい、といっている。この作品はフィクションです、の後にも実際の登山の参考にはしないこと、万全な計画、無計画な登山への注意書がわざわざある。
この作品はコース紹介じゃないし、著者が描きたかったのは“365日の数日の体験が残りの日を支える”、という特別な数日間で、その考えはすごくわかる。
ただ、山登りの基本の基だから、そこが抜けてしまっていることが、このリアルな小説の致命傷に感じる。
山に登らない人だったら楽しめるだろうか?
うーん、やっぱり「そうそう!」と自分の山行を引き合いに出して風景を思い出しながら読む方が楽しめると思うのだけれど。
2020.6.11
- 感想投稿日 : 2020年6月11日
- 読了日 : 2020年6月11日
- 本棚登録日 : 2020年5月10日
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