タイトルと帯の通り、(大部分の)保険がコスト的には無駄であることを説いた一冊。
10年以上保険会社で勤務していた筆者が、『保険のどういう点がコスト的に無駄なのか』『保険という仕組みをどう捉えればよいか』について、自身の経験談や保険屋さんへのヒアリング、そして数的根拠を用いて記述しており、非常にロジカルな内容となっています。
■こんな人にオススメ
保険に対する知識のない人にとっては、一読の価値があります。
筆者の主張に同意できるか否かは、その人の価値観によりますが、少なくとも保険の仕組みや保険商品の優劣比較については、客観的でロジカルであり、とても参考になります。
他方、結論がはっきりしている書籍であるため、そもそも思想が合わないという方に人にとっては、とことん合わない内容だと思います。
■本書の概要
・私たちは健康保険という素晴らしい保険に加入しているので、まずはそれでどこまで補償を受けられるのかを理解すべき。
・その上で民間保険に加入しないと、余計な保険に入る恐れがある。
・そもそも保険というのは金銭的には損をする商品だと理解する。
・「すぐには集められないまとまったお金を、緊急対応的に工面する」という仕組みを買っているという認識。
・言い換えれば、保険で元手を増やそうとか貯蓄しようというのはおかしな話。
基本的には増えないか、あるいは投信などの貯蓄・投資目的の商品には敵わない。
(投資手法は同じなのにかかる経費が全然違うため。)
・積立は論外。入るなら掛け捨て。
積立は経年に伴い保険金額を自分で工面する仕組みとなるため勿体ない。
掛け捨てなら相互扶助であることから毎月の保険料が少なく済む。
・頻発する事故や病気(例えば入院、癌等)は頻発するが故に保険料が割高。
そして頻発するが故に、大概は健康保険で賄えるか、あるいは少しの貯金を切り崩せば賄えるレベルの出費であるため、割高な保険料を支払うのことは勿体無い。(期待値的には損をする。)
・他方、発生頻度が少ない事象に対する保険は、保険料が割安であり、検討する余地がある。
・基本的な思考は、住宅の火災保険や車の自賠責と同じ。
これを生命保険に置き換えると、途端に感情論が支配してしまう。
頻度ではなく損失の大きさに対してリスクヘッジをすることが重要。
■最後に
注意しなければならないこととして、筆者は保険不要論者ではありませんし、保険が不要だとは本書でも一言も書かれていません。
生命保険への加入の是非を感情論に左右されず、エビデンスに基づいて判断すべきだという主張を一貫してされています。
この辺の勘違いや先入観を持って読み進めてしまうと、途端に「性格の悪い」書籍に見えてしまうので、ぜひフラットな気持ちで読んでみてください。
- 感想投稿日 : 2022年10月18日
- 読了日 : 2022年10月16日
- 本棚登録日 : 2022年10月8日
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