「物理の散歩道」シリーズ最終の第5巻。寺田寅彦的な身近な物理のオンパレード。なんで茅葺きの屋根は雨漏れしないんだろう,蛇はどうやって前進するのか,砂浜はなんで濡れると黒くなるのか,ボーリングの玉に反時計回転を与えるとはなぜ左にカーブするのか,などなど,当たり前と思っているけどよく考えると簡単には説明できないような身近な現象をわかりやすく物理的に説明しようとしています(わかりやすいと言っても,それなりの物理の知識は前提となります)。単に答えが書いてあるのではなく,物理の大御所達がそれらの現象を説明しようとしてあれやこれやと考えていく過程(間違えたりもしながら)が書かれているのが面白いところです。この「考える」ことが重要だ,ということに関する教育論が本書の最後の「要約のすすめ・反要約のすすめ」に書かれている。40年前に危惧されていることは全く今でも当てはまるのに驚いた。もちろん,そのときの危惧はどんどん進行しているのだが。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
物理一般
- 感想投稿日 : 2011年8月21日
- 読了日 : 2011年8月21日
- 本棚登録日 : 2011年3月16日
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