都道府県・市町村といった行政地図ではなく、河川流域を基準にした「流域地図」という考え方についてまとめた本。利水、治水、さらには自然環境や生物多様性といった生活の身の回りの環境を理解する上で、非常に合理的であり参考になった。
日本を含む世界の大都市は、大きな河川の河口付近に造られていることが多い。そこに気候変動の影響による洪水や海水面上昇といった水害が顕在化しており、これまで経済発展一辺倒で拡大してきた都市構想は曲がり角を迎えている。
この都市の防災を考える上で、政治的・歴史的経緯によって定まった行政地図で仕切ることはナンセンスである。河川で水害が起こる原因とは、上流域における集中豪雨と宅地整備等による涵養機能の低下であり、下流域の都市部だけで対応できる課題ではない。
つまり、流域地図を用いて上流域と下流域の繋がりを可視化し、住民同士の交流を通じて流域圏の包括的な災害対策をつくっていくことが、環境的な視点を含めて全体最適な考えとなるであろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年1月14日
- 読了日 : 2014年1月14日
- 本棚登録日 : 2013年12月4日
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