僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房 (2012年6月5日発売)
3.89
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本棚登録 : 1152
感想 : 105
4

良かった。
全てがハッピーエンドとは言えないかもしれないけど、それでも今良かったなと思える。

「人間は、どんなときに絶望という二文字に囚われるんだろう。
たぶん、この世に自分独りきりという気持ちになったときじゃないか。」

その通りだと思う。
私は自分独りきりで出来ることなんて何にもないと断言出来る。
心細くて堪えられないだろうとも思う。
主人公が孤独ではない物語が好きなのは、安心できるからだ。
自分を想ってくれる人がいるということは他の何にも代えられない幸福だと思う。

この物語の主人公はとても優しくて、家族のこと、上司のこと、同僚のことを大切にしている。
自分のことより彼らの幸福と安全を優先している。
そして主人公も同じように大切にされている。
危険を知って走ってきてくれる人がいる。
冗談みたいな困難な状況を前に一緒に悩んでくれる人がいる。
だから最後まで安心して読むことが出来た。とても心強い仲間がいたから。

もちろん物語も魅力的でドキドキさせてくれるし、登場人物も素敵。
特にナタネさんの格好良さは筆舌に尽くしがたい。素敵すぎる。
ナタネさんのような格好いい大人になりたい。絶対無理だけど。

人と人との繋がりは不思議だ。
運命なんてあるのかどうか知らない。
考えたいとも思わない。
だけど、ただの偶然だったとしても、「これは運命だ」と信じたくなる出会いはきっとある。
その出会いを大切にしなくちゃいけない。
私の手で守らなくちゃいけない。
この物語を読んでそう思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年2月21日
読了日 : 2013年2月21日
本棚登録日 : 2013年2月21日

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