風景描写の点や、いくつかの教養的な要素を引用して話を広げる点、独特のリズムやまた今回の作品では割と大きく掘り下げられた人間の内面の描写に関しては非常に良かったという感じだが、残念ながら最後の月子騒動に関する締めくくり方はちょっと好きではなかった。良く分からない感じでうやむやで終わらせてしまった感じがあった。
副部長とぶつかり、入れ替わり、それを通して自己の人生を異化し、互いを理解する。と言う構造は好きだった。上手い具合に伏線を散らしているのも合って、良く出来た構造に感じた。互いを理解しあったからこそ、袋小路に追い詰められた横寺はより他人との間の壁の大きさを実感して...と言う逆説もまた良かったと思う。
全体的にやっぱりワイルドの影響は受けてるんだろうなと思った。斜に構えた主人公が色々なことと向き合いながらも、根底に悲観的なものがわだかまっている。そう言う部分には共感する。
ただ一つ思ったのは、小豆梓関係だとか、月子もそういう所が歩けども、ラノベだからって不自然にベタベタしすぎたりする描写なんかは薄いしちょっと...って感じた。やはりラノベはラノベか。
二人の風呂での会話は良かった。
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- 感想投稿日 : 2013年9月14日
- 読了日 : 2013年9月14日
- 本棚登録日 : 2013年9月14日
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