カルヴィーノが晩年にアメリカで行った講義ノート.講義自体は6回であったが,本人が文章としてまとめることができたのは5回分であった.6回のテーマはそれぞれ,軽さ,速さ,正確さ,視覚性,多様性,一貫性であった.どれもカルヴィーノ作品のキーワードと言えるだろう.これは,その逆となる言葉を常に意識していたことも意味している. 39ページでカルヴィーノはこう書いている.
"重さを備えた言葉を味わうことができなければ,言葉の軽やかさを味わうこともできないでしょう"
カルヴィーノはいろいろな文学作品を例に挙げながら,彼の文学論を展開している.そこから浮かび上がってくるのは,他者を認めながら自分を形作っていくことの重要性ではないだろうか?重さ,鈍重,…etc. を認め,それとは逆向きにあった自分が向かうべき道を築くために,何を考えてきたのかを説明しているように私には思えた.
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2014年8月11日
- 読了日 : 2014年8月10日
- 本棚登録日 : 2014年8月11日
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