亜人ちゃんは語りたい(1) (ヤンマガKCスペシャル)

著者 :
  • 講談社 (2015年3月6日発売)
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本棚登録 : 1197
感想 : 63
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普通の人間とは異なる性質を持った「亜人」と呼ばれる存在が居て、それは特殊であるがゆえに倫理的問題を孕み簡単に扱うことを良しとしない。だから亜人に興味があった鉄男も簡単な研究すらすることが出来なかった
……のだけど、そんな亜人が普通に高校に何人も居るという不思議。特殊な存在なんだから保護しろなんて言うつもりはないけど、こんなあっさり何人もの亜人に出会えてしまうとはちょっと都合の良すぎる展開と思わなくもない。
けれど、この作品で描こうとしているのは「特殊な存在である亜人」ではなく、「日常の中にいる亜人」なんだろうなと思う
だから、あれだけ会いたがっていた亜人に会えた鉄男がすることは日常を脱しない程度の会話だし、時には教師として生徒に向き合うように亜人に向き合う

亜人の方も自分が特殊な性質を抱えている自覚は有っても、同時に自分は普通の人間でありたいという感情は有るだろうね。でも、やっぱり自分と他人に違いの原因が有るとすればそれはやっぱり「亜人」であることに求めてしまいそうになる
そういうことが現れたのが第7話で描かれた雪への陰口であり、それを受け止めての雪の涙だったのだろうね
雪を庇い陰口への文句は言いつつも、雪には雪の行動を促したひかり。文句を言う際のひかりは「亜人」であることを理由にしない。単純に一人の人間として陰口を言っていた生徒に文句を言う。
だからこそ、雪も「亜人」であることよりも、それによって生じてしまった態度を謝る
ここで誰も「特殊な亜人」であることも「普通の人間」であることも理由にしないから、性質の差は壁にならず和解を求めることが出来る。
本作の方向性をよく表しているシーンであるように思えた

ただ、それでも亜人ならではの大変さや苦しみは有るわけで
鉄男がひかり達三人に助け合う関係性を用意し、同時に自分は教師として三人を見守る立場である宣言する流れは良いなぁ
……その後のハグ大会になる流れについても思わず良いなぁ、と呟きたくなるけど

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2019年7月21日
読了日 : 2018年5月20日
本棚登録日 : 2018年5月20日

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