弱キャラ友崎くん Lv.6.5 (ガガガ文庫 や 2-7)

著者 :
  • 小学館 (2018年10月18日発売)
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本棚登録 : 308
感想 : 11
4

基本的に主人公視点で進行する作品が短編集のような形で別キャラの視点を描いてくれる構成は好きだったりする自分にとって、この巻は話は進まなくてもキャラへの理解がより深まったという点では嬉しいものだったりする

1話 日南の中学時代
パーフェクトヒロインがまだパーフェクトじゃなかった時代…と言ってもその思考回路は既に怪物じみているね。一つ一つの会話に対してどう答えれば人間関係を円滑に回せるかと考えている点については現在の友崎に通じる点があるからまだ良いとしても、バスケ部副部長から告白された際に恋愛にも手を出してみたい、自分を更なる高みに上げるために告白を了承するというのは普通の女子中学生の枠に収まるものではない
そしてある程度恋愛というものを知ったらあっさりと別れてしまう。本当に相手を見ずに自分を基準に物事を考えていることが伝わってくる描写
この話を読んで改めて日南の過去に何が有ったのかと気になってしまった

4話 風香の中学時代
実は風香がクラスメイトに対してどういう風に接しているのか、とか距離感についてちょっと判らない部分があった。それが少し見えた気がする短編
中学時代は友崎とは別の意味でクラスに混ざれていなかった風香。それがアンディ作品との出会いで少しずつ変わっていく様子が描かれる。
司書の郷田の言葉をきっかけにして自分をポポルに見立てて行動した風香。悲しい結果に終わったけど、それは友崎にとっての日南みたいに風香を指導してくれる人が居なかったから起きた悲劇であるようにも思えてしまう。そういった失敗が有ったから、高校時代は声を掛けるだけじゃなく共通の話題を切り口にして友崎と親しくなることが出来た。
風香にとってアンディ作品がどれだけ大きな意味を持っているのかが伝わってくる話だった

6話 優鈴と中村による惚れた腫れた
友崎視点の本編に置いても中村がどれだけ好きか存分に伝わってくる優鈴と、素直じゃないながらも優鈴を大切にしようと考えている事が見える中村。そんな二人に破局の危機が訪れるなんてフラグを整えられた所で簡単に信じられるようなものではないのです
結末は思わずズッコケそうになるものであったのは確かだけど、優鈴視点で描かれることで改めて優鈴が中村のことが大好きであると再認識させられた
そうだよなぁ、思い返せば中村とゲームしたいからって小ジャンプを猛練習したくらいだもんなぁ
本当に甘々な短編でした

そして、なんと言ってもこの巻でメインとなるのはやはりみみみの心情描写。
前の巻で遂に友崎に告白したみみみ。本編では少しずつ彼女が友崎に惹かれていく工程は判るのだけど、具体的に友崎のことをどう思っていたか、自分自身の心情変化をどう捉えていたかまでは判らなかった
それがこの短編集では幾つかの時間軸を細かく描写し、みみみの独白をふんだんに用いることで理解できるようになっている。
そっか、日南が考えた他の女子の影を匂わすことで相手を慌てさせる策略、みみみには存分に効いていたのか


本編に置いて友崎が覚悟を決め、短編集でみみみが自分の心を確かにした。次の巻で何が起こるのか非常に楽しみになってきた

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2019年1月14日
読了日 : 2019年1月14日
本棚登録日 : 2018年10月16日

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