遂にシッダルタが主人公へ。と言ってもこの頃はどう見ても人の上に立つ存在には見えない
身体が弱く人に交じれず身分制度に納得していない。この時代に馴染んでいないように思えてしまう
一方でその多感な性質はこの時代における矛盾や理不尽を直視しているね。ただ、正しく見ようとするからってそれらを自己の中で消化できているわけではないようだけど
そんなシッダルタにとって、コーサラ国からやってきたバラモン、そしてタッタとの出会いは人生観を大きく変えるものになったようで
独自の方法で死を体感させたバラモンの教えはシッダルタに生への執着を覚えさせるものとなり、同時に動物を通して体感した事で自然と人とそれ以外を隔てる感覚を失わせるものにもなる
身分が大きく異なり自然の中で生きるタッタはシッダルタに外の広い世界を見せる事になる
世の中や身分に疑問を持ちつつも、城を中心とした狭い世界しか知らなかったシッダルタにとってどれも新鮮な出会い。中でもミゲーラとの出会いは鮮烈。シッダルタに異性への執着を覚えさせるきっかけとなっているね
ただ、それらの新鮮且つ残酷な世界にシッダルタは耐えられるように出来ていないから結局は城に戻るしか無かったのだけど
時が経って始まるヤショダラ姫の婿選び
ここでシッダルタが我儘を言い、ルール無用のバンダカが関わってきたことで奇妙な事態になっていくね
順当にルールを守ったのでは虚弱なシッダルタに勝つ見込みはない。こちらもルール無用にならなければならない
けれど、ルールを守らなければルール破りが発覚した時に守ってくれるものは何もない。だからミゲーラの身に起きた事はある意味予想されて然るべき事態
ミゲーラを助けるためにはシッダルタもこれまでのように身分等のルールを無視する行動は許されない。ルールに従うしか無い
どうにか命だけは救うことが出来た。けれど、大きな傷を負ったミゲーラの姿を見てシッダルタは何を思うのか……
- 感想投稿日 : 2021年7月25日
- 読了日 : 2021年7月24日
- 本棚登録日 : 2021年7月20日
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