the SIX ザ・シックス

著者 :
  • 集英社 (2015年3月5日発売)
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本棚登録 : 342
感想 : 68
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 『the TEAM』という似たタイトルの連作短編集があったが、関連はないようだ。本作のテーマは、ずばり超能力。六人六様の能力を抱え、苦悩する少年少女たち。『魔法使いの弟子たち』というはるかに弾けた作品もあるが、これはこれで楽しめた。

 「あした絵」。引きこもる少女の相手を命じられたのは、ニートの青年だった。彼女が一心不乱に描く絵には、秘密があった…。タイトルからばればれですね。普通の大人なら取り合わない。「2人」を救った青年のお手柄に拍手を。

 「鬼の声」。虐待かもという通報を受けた児童相談所のスタッフが、登校していない少年を訪ねてみると…。こちらも何となく予想がつくタイトルか。露骨に厄介者扱いする学校に対し児童相談所に柔軟な同僚がいて、幸いだった。

 「空気剃刀」。もろバレじゃないか。能力に悩んだ末に児童養護施設を飛び出した少年。しかし、彼とて食べなければ生きられない。粘り強くコミュニケーションを試みるこの男性の正体は…。うまく折り合いをつけられるといいが。

 「虫あそび」。いじめに遭っている少年が、偶然ある少女と知り合った。彼が考えた、世にも恐ろしい復讐とは…バレバレですね。先の3人だって大変だが、この少女の能力は、日常生活を送る上で支障がありすぎる…。

 「魔王の手」。ガソリンスタンドの爆発事故現場にいた、記者らしき男性。不可解な爆発状況を探ってみると…。こりゃ、先ほどの少女と同じくらい、いやそれ以上に日常生活が困難か…。姉弟が平穏に暮らす手はないものか。

 「聖なる子」。第6の少女の能力は読んでください。細心の注意の下、6人の超能力者を集めて合宿が行われた。共通の悩みを持つ6人はすぐ打ち解ける。最後の大団円はすごいぞ。それぞれの能力を活用して打開を図る。この最強メンバーなら何でもできそうだ。それだけに、彼らが悪用されないことを願うばかりだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 井上夢人
感想投稿日 : 2015年3月27日
読了日 : 2015年3月27日
本棚登録日 : 2015年3月27日

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