世間の目

著者 :
  • 光文社 (2004年4月23日発売)
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感想 : 14

「世間が許さない」「世間体が悪い」「渡る世間は鬼ばかり」…日本には世間がある。

「世間を見返してやる」「世間に申し訳がたたない」「世間に恩返しする」など、
個人の強い行動原理にもなりうるこの「世間」
日本人がいかに切り離せる個ではなく、関係性の中で生きているかがわかる。

近頃、日本について問われる機会が多い。
「なぜ日本では・・・」「なぜ日本人は・・・」
考えてみると日本ではこの「世間」という概念が存在することに気がついた。

「世間」とは「日本人が集団になったときに発生する力学」
これは個人の意思とは別に、相対的に独立してあらわれる集団の意思そのもの。
この意思はある種の強制力をもっている。
「世間」が「権力」だといわれると、少し違和感があるかもしれないが、
「世間」はある場合には、きわめて強力に個々の人間を拘束するような力を持つ。
私たちはそれに対して抵抗するのが非常にむずかしい。
日本人をつらぬく見えない掟。

断っておくが「世間」という概念を「悪いもの」として否定しているものではなく。
あくまで、そういう概念があるということを提示していて。
よくも悪くも日本人である自分たちは「世間」と付き合わざるをえないのだから。

それでも、よりよい「世間」のあり方を
模索していく必要があるのではないかと感じています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2010年5月27日
読了日 : 2010年4月30日
本棚登録日 : 2010年4月30日

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