「世間が許さない」「世間体が悪い」「渡る世間は鬼ばかり」…日本には世間がある。
「世間を見返してやる」「世間に申し訳がたたない」「世間に恩返しする」など、
個人の強い行動原理にもなりうるこの「世間」
日本人がいかに切り離せる個ではなく、関係性の中で生きているかがわかる。
近頃、日本について問われる機会が多い。
「なぜ日本では・・・」「なぜ日本人は・・・」
考えてみると日本ではこの「世間」という概念が存在することに気がついた。
「世間」とは「日本人が集団になったときに発生する力学」
これは個人の意思とは別に、相対的に独立してあらわれる集団の意思そのもの。
この意思はある種の強制力をもっている。
「世間」が「権力」だといわれると、少し違和感があるかもしれないが、
「世間」はある場合には、きわめて強力に個々の人間を拘束するような力を持つ。
私たちはそれに対して抵抗するのが非常にむずかしい。
日本人をつらぬく見えない掟。
断っておくが「世間」という概念を「悪いもの」として否定しているものではなく。
あくまで、そういう概念があるということを提示していて。
よくも悪くも日本人である自分たちは「世間」と付き合わざるをえないのだから。
それでも、よりよい「世間」のあり方を
模索していく必要があるのではないかと感じています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2010年5月27日
- 読了日 : 2010年4月30日
- 本棚登録日 : 2010年4月30日
みんなの感想をみる