家康、江戸を建てる

著者 :
  • 祥伝社 (2016年2月9日発売)
3.84
  • (119)
  • (248)
  • (145)
  • (14)
  • (11)
本棚登録 : 1500
感想 : 203
4

【第一話 流れを変える】
伊奈忠次 から4代。利根川の東遷事業。

【第二話 金貨(きん)を延べる】
後藤庄三郎光次。
貨幣戦争については偶然最近「ホンモノのおカネの作り方」を読んでいたので興味深かった。もっと勉強したい。
貨幣制度の日本統一は徳川家康、と漠然と理解していたつもりだったが、フィクションとはいえとても現実味があって、関ヶ原の戦いの臨場感というか、こう繋がってくるのかぁと感無量でした。
後藤家が関ヶ原の戦いの際に真田家みたいに兄弟で東西分かれていたのは史実かな?気になる。

【第三話 飲み水を引く】
井の頭公園から玉川上水の川を作って都心まで引っ張る事業。大久保藤五郎と内田六次郎という人物。
井の頭公園の近くに“牟礼”という地名に聞き覚えがあったので胸熱でした。
『枕草子』の「井は、ほりかねの井」などを挙げて"ほりかねの井”なる枕詞がでてきます。
玉川上水が身近であることや目白山、椿山荘、水道橋などの地名の由来や現在の様子を比べて面白いです。

【第四話 石垣を積む】
大久保長安がとっても嫌なやつで驚いた!!
東京国立近代美術館の「眺めの良い部屋」でみたあの石垣を思い浮かべながら読みました。

【第五話 天守を起こす】
凡庸と言われる秀忠の描きようと、天守から常に普請中という江戸の街を眺める家康の目線が良かった
天守建築の事業でありながら、江戸の街全体の漆喰の壁にまつわる話。これぞまちづくり。


家康の元でそれぞれ奮闘した人物たちと事業についての独立した話かと思いきや、前話までの内容や人物像を読者に浸透していることを前提とした話運びで、みな江戸を建てるために必要なことだけれでもそれぞれ別事業でありそうなのに、やはり家康を中心に背景が繋がっていることが伝わってくる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 門井慶喜
感想投稿日 : 2023年12月26日
読了日 : 2023年12月25日
本棚登録日 : 2023年12月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする