AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫 た 1-4)

著者 :
  • 小学館 (2008年7月19日発売)
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感想 : 116
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不思議電波さんのお話。電波さんってイタいよねっていうお話なのに、不思議とむず痒さは生じない。ラノベ愛読者の自分も脳内厨二病だからなのか、著者の文章力の為せる技なのか。おそらく、主人公が最後まで一般人であり続けたからだと思う。

佐藤一郎の高校デビューは、脆くも崩れ去る。夜中の学校、教科書を取りに行った一郎は、一際激しいオーラを発する魔女と出会う。異世界めいた発言の多い魔女は、何てことはない不登校のクラスメイトだった。普通の高校生を渇望していた一郎には、彼女を中心に妄想戦士たちが集まってくる。日常を守るために、妄想戦士の最後の闘いが始まる。


夜の魔法は人間の不思議適応力を数倍に引き上げる。宇宙人やUMAや魔法使いや異世界人や、昼間絶対に信じないものでも、夜の闇の中ではちょっとくらいいいか、と気を緩めてしまう。一郎が青の魔女に出会い、不思議理解度を示したのもやむを得ないことだと思う。

電波さんとか厨二病とか端から見るとイタいだけだが、様々な設定を駆使してヒーローを演じきっている姿に感嘆する。ノート十冊分も設定を考えられるのなら、素直にシナリオライターにでもなれるのではないかと…外観はひどくても、頭の中は凄いことになっている、それが電波さんだと感じた。

妄想は電波(伝播)する。これだけ想像力(というか妄想力)豊かな仲間たちが入れば、もっと世界は楽しくなるんじゃないか。少なくともクラス内のいじめや階級制度やグループ同士の対立や勉強、恋愛の悩みなんて取り留めもない小さなことと思えることだろう。

一般人グループと妄想戦士グループ、クラスを半分に分かつ勢力争いも妄想力豊かな戦士たちに駆逐されていく。本書を読み切った時には、妄想世界もいいかもという幸福感に包まれている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2013年7月18日
読了日 : 2013年7月18日
本棚登録日 : 2013年7月18日

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