動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学 (河出文庫 ち 6-1)

著者 :
  • 河出書房新社 (2017年9月6日発売)
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本棚登録 : 555
感想 : 17
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所々、非常に難解。上方、下方の全体性に逢着せずに、連続性と切断、イロニーとユーモア(ツッコミとボケ)の間でいかにバランスを取るかがテーマで、そういう意味ではネット社会の接続過剰、それか醸すある種の多様性、相対主義の仮面をした全体性についてアクチュアルな議論。売れたのもわかる。ただ、やはり物凄く思弁的で、こうした哲学的議論がいかほどの意味を持ちうるのかについては、面白く読みながらも一抹の疑念が頭を指すめる昨今。色んな煌めきや刺激されるセンテンスがたくさんあって、読み物としてはおもしろいんですけどね。メタファー的な表現が多く科学関係の書籍を読んだ時の明晰さからくるワンダーとは違った面白さがあるんだが、それがどういう意味を持つのかは。。著書にとっては今を理解するため、対峙する為のやむにやまれぬ関心のありからしいことは伝わってきたが、この議論の価値がどこにあるかはなかなか評価しにくい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2021年8月12日
読了日 : 2021年8月12日
本棚登録日 : 2021年8月12日

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