二十歳のころ 1 1937-1958: 立花ゼミ調べて書く共同製作 (新潮文庫 た 59-2)

  • 新潮社 (2001年12月1日発売)
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感想 : 47
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原爆被爆者へのインタビューほか。
戦争を知らない私は、今は想像するしかない。

一番心に残った、森毅へのインタビューから

「朝(あした)に道を聞かば夕べに死すとも可なり」
「カルチャーいうのは、五年、十年たたないと変わんない。だったら、今の制度変えるよりは、どうやったら自分が気持ち良く暮らせるかを考える方が先ちゃう?気持ち良く暮らすというのは、自分の問題やからね。」

「決定論的因果律というものに支配されすぎじゃないかと思うな。(中略)それよりむしろ偶然論的因果律みたいなのがあって、一つ一つは偶然だけど、全体では一つの流れがあるというのがあるでしょう。(中略)実際は、決定論的因果律よりも統計力学的な因果律の方が多いのね。(中略)いろいろあるのが自然なんやから。(中略)確率論を履修した方がええと思うのね、世の中認識するために。それともう一つ、世の中のベースに状況論的因果論みたいなものがあってね。「こういう時代ではこういう流れになっているから、こういうことが起こりやすくなっている」ということを認識してほしい。」

「自由っていうのはいろいろすることや。色々すると付き合いも増え、ややこしさが増えるのや。そのややこしさを確保して付き合うのがほんまの自由なんや」

一番衝撃だった茨木のりこへのインタビューから

「私が一番きれいだったとき」
 だから決めた できれば長生きすることに
「汲む」-Y・Yに-
 初々しさが大切なの
 人に対しても世の中に対しても
 人を人と思わなくなったとき
 堕落が始まるのね 墜ちゆくのを 
 隠そうとしても 隠せなかった人を何人も見ました
「自分の感受性くらい」
 自分で守れ
 ばかものよ
「小さな娘が思ったこと」
 小さな娘がおとなになって
 妻になって母になって
 ある日不意に気づいてしまう
 ひとの奥さんの肩にふりつもる
 あのやさしいものは
 日々
 人を愛していくための
 ただの疲労であったと

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2011年5月11日
読了日 : 2011年月
本棚登録日 : 2011年5月11日

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