氷川清話 (講談社学術文庫)

著者 :
制作 : 江藤淳  松浦玲 
  • 講談社 (2000年12月8日発売)
3.84
  • (71)
  • (92)
  • (92)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 1098
感想 : 97
5

歴史好きにはたまらない。晩年の勝海舟口語録。ひたすら西郷をほめちぎる。
現代にも通じる人の道、政治の道を、江戸弁でまくしたてているので気持ちいい。
学のあるフーテンの寅?

・外国といふものをドシゝ若手の連中に目撃させねばいかぬと思った
・人物が知られるのは100年後
 →今のことは今知れて、今の人に褒められなくては承知しないといふ尻の穴の小さい奴ばかりだろう
・これは今日の事で明日のことは余の知るところにあらず
・政治家の秘訣はほかにないのだよ。正心誠意の四字しかないよ
・人心を慰安する余裕(徳川家康→日光:信長・秀吉・家康3人の霊を合祀してある)
・難民の救済:東北の津波記述あり
・災害が起こったとしてもどこまでも住み慣れた土地にいた者を、その土地より逃さずにチャント住まわしておくのが仁政といふものだよ。
・とにかく、経済の事は経済学者にはわからない。
・なーに、塾考の上で決行すればやられない事わない
・心は明鏡止水のごとし
・平生小児視して居る者の中に、存外非常の傑物があるものだから、上に立つ物は、よほど公平な考へをもって、人物に注意して居ないと、国家のために大変な損をすることがある。
・気合が人にかかったと見たらすらりと横にかはすのだ。もし自分にかかって来たら、油断なくずんずん推していくのだ。
・西郷が偲ばれるのサ。彼は常に言っていたヨ。「人間一人前の仕事といふものは高が知れる」といってゐたヨ。
・人材は製造できない。畢竟自己の修養いかんにあるのだ。
・時間さへあらば、市中をぶらつけ。
・必ずこれのみと断定するな。
・人を集めて党を作るのは、一つの私ではないかと、おれは早くより疑ってゐるヨ。人はみな、さまざまにその長ずるところ、信ずるところを行へばよいのサ。社会は大きいから、あらうるものを包容して毫も不都合はない。
・何事も知らない風をして、独り局外に超然として居りながら、しかもよく大局を制する手腕のあったのは、近代ではただ西郷一人だ。世が文明になると、みな神経過敏になって、馬鹿の真似などはできなくなるから困る。
・大げんかせよ。おれはモー死にかかって、半分耄碌して居るが、世の中の若造も思いの外だよ。来年は戌年だといふから、発句を読んで置いた。これをご覧。
 「男らしく大喧嘩せよいぬの春」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年12月9日
読了日 : 2011年10月25日
本棚登録日 : 2018年12月9日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする