南総里見八犬伝 (これだけは読みたいわたしの古典)

著者 :
  • 童心社 (2009年2月1日発売)
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感想 : 2
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八犬伝第一回から十三回の伏姫物語と呼ばれる辺りまでで書かれた珍しいタイプの八犬伝。むしろ義実物語って感じか。原典の記述を訳したような記述もあればオリジナルキャラクターも登場させ、さらに物語冒頭にのみ現れるはずの白竜を何度か登場させるなど何とも独特。
しかし……しかし、伏姫が富山に入った辺りからなんだこれわ(笑)って失笑しながら読んでたw 伏姫屋敷のゆーかさんは「八犬伝のようでいて全然八犬伝じゃないような」と書いていたけど、ある意味斬新で、斜め上低空飛行していく感じは八犬伝を知っている読者を( ゚д゚)ポカーンとさせること間違いなしw 変に腹は立たなくて、むしろなんか思いっきりやられた感じが逆に面白いww 八犬士出てこないのに何が八犬伝だとケチつけたい気もするけどw 伏姫が「心の病」と決めつけられたり、「孤独の自由を楽しみたいから八房を利用して国を捨てた」とか、なんじゃこりゃなんじゃこりゃww 心の病(笑) 最終章はまっっったく八犬伝にない流れだし、なんか、なんかね、「選択肢間違えて最初の方のバッドエンド行っちゃった…?」って思ったよw ゲームじゃないのにw 白竜が八玉持ってった時にはなんぞこのドラゴンボールww って思ったしw 白竜は自分の心の中にいるのだ、ってラストの義実の納得も「……だから?」ってなるしw
解説によると八犬伝の典拠の一つである水滸伝の持つ虐げられた民衆(主に農民、百姓)の力のようなものを書こうとしたらしい。馬琴の書いていた頃は読本や黄表紙の作家が弾圧を受けていたことをまず書いて、「(馬琴の)八犬伝は幕府の目を逃れる為にそれ(民衆)を排除したがそれは誤りである(=八犬伝は間違っている)」的な書き方をしてて、また「は、はあ…??」ってなったし。どうも水滸伝>>>八犬伝のような捉え方をされてて、「八犬伝は表面的な面白さだけを狙い、根本では、支配者の喜ぶ儒教のある一面を、読者の心にしみこませようとする作品になっていますから、「水滸伝」のように今日私達が読んでも感動出来る、というわけにはゆかないのです」っていうのも「……?????」ってなる。八犬伝をちゃんと読んでないんだろうか。この解説者や作者こそ八犬伝の表面的なものしか捉えてないんじゃないか… そもそも、八犬伝は農民や百姓の話ではなく、道節や姥雪家、穗北の面々等の練馬の残党に表されるような土着の武士である「郷士」たちの戦いの物語といった方がずっと正しいと思うので、こんな立派な本で変なふうに歪められた八犬伝伝えられてもなあ…ともにょるのであった。
やらんとしたことはわからなくもないけれど、そんなに水滸伝持ち上げるなら、一言「水滸伝でやれ」である。自分の好きな伏姫物語の辺りだから目次見た時めちゃくちゃわくわくしてたのに散々だった。あー、でも八犬伝てこういうのもあるから面白い。じわじわきてるw 心の病(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 古典
感想投稿日 : 2013年9月20日
読了日 : 2013年9月19日
本棚登録日 : 2013年9月19日

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