重厚な短編集だった。どの話も沼が深い。どんでん返しが多くありきたりな着地を見ない。
どんでん返しが凄まじく、最後になんとも言えない絶望が残る【厨子家の悪霊】、幕閉じでまさかのカラクリが発動する【笛を吹く犯罪】、友人のやりきれない最期と哀れな運命が哀しい【墓掘人】、そして、人間荘というアパートを舞台に繰り広げられるドロドロの人間劇をのぞきみる中編【誰にでも出来る殺人】が特に印象的だった。
それ以外の短編もどれも個性が強くおもしろかった。
山田風太郎自身医学を学んでいたからか、登場人物に医学生が多かった。またほとんどの話で、女性が事件の中心にいる。その女性は聖女であったり魔性であったりそれぞれだが、彼女の色香で破滅へと踊らされる男たちの物語が多かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年4月19日
- 読了日 : 2021年4月19日
- 本棚登録日 : 2021年4月19日
みんなの感想をみる