迷うのが好き。まどろむのはもっと好き。 いつか暮らした大きな町の片すみの小さな部屋で、めざめたまま迎えた夜明けの窓辺にまぎれこんできた小雨の、きらきらとした心地よさにひとりすくわれたことをずっと後になってふと思い返すときのように、ここに留め置かれたささやかな思いの雪片を、そっとなつかしむ日がいつかおとずれるといいなと思う。