仕事人間が定年を迎えたら?
エリート銀行員・田代壮介(63)の場合。
東大法科を出てメガバンクに就職、エリートコース一直線で辣腕をふるって来た田代は、役員を視野に入れたところで突然出世コースから外される。
出向、転籍で、定年を迎えた。
彼はどこで「終わった」のだろうか?
妻は美容師として生き生きと働き、別のレールを進む…この辺りの関係も「終わった」?
男としても「終わった」?
その辺のいわゆる「ジジババ」と一線を画そうとするものの、蟻地獄に落ちてゆくがごとく、一つづつ、自分も「ジジ」なのだと納得せざるを得ない様子がつぶさに描かれているあたり、リアルで恐ろしい。
しかし、ここまでは誰にでもある話だったかもしれないが、「サラリーマンとして成仏していない」田代は、もうひと旗挙げようとする。
徹底的に裸にならなければ見えてこなかった、人生の行きつく先、そして夫婦関係。
これも一つの結論なのだろう。
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- 感想投稿日 : 2017年5月21日
- 読了日 : 2017年5月21日
- 本棚登録日 : 2017年5月21日
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