この本で言う「古代史」の範囲は、何らかの文書に記録が残っているところから始まり、奈良時代の終わりまで。
年代順にテーマを決めた章ごとに、時代のあらましと、どんな記録があって(簡単に)、どういった見方がされているか、または論争があるかの説明。
具体的に作品を取り上げ、歴史的事件や人物をどう見て、どの学説を採用しているか、またはその作家なりのどんなオリジナル視点を入れているかなどを解説する。
そして、その時代について、周防さんがどの見方を押しているか、どう考えているかを記してまとめている。
と言う、スッキリしてとてもわかりやすい作り。
個人的には、欽明天皇くらいになって、「やっと知ってる人来たーーー!」と言う感じで、ほっと安心する。
人となりを知っているのではない。
「日出処の天子」で系図に載っていた覚えがあるから。
私にとっては印象的な作品で、蘇我馬子と聞いたらあの顔しか思い浮かばないのである。
その、欽明天皇以前は、全く知らないわけではないが、名前がややこしくて覚えられない。
しかも、あったのかどうか分からない歴史なわけで。
第一章丸ごと「邪馬台国」に割いているが、卑弥呼、どうしてあんなに流行ったのかしらね〜?!(笑)
あったかどうか分からない歴史だけあって、作品の傾向は、ファンタジーだったりSFっぽかったりする。自分も、昔読んだ。
都合のいい解釈も小説ならいいが、「皇国史観」みたいな利用の仕方はちょっとね。
紹介されている小説は42作(で合ってる?)だが、巻末の『古代史小説ライブラリー』がすごい。
所々にいいタイミングで挿入されている系図も親切。
懐かしい作品もたくさん紹介されていた。
気になった人物は「漢皇子(あやのみこ)」かな?
『白村江』と『穢土荘厳』は読まなくちゃ、と思った。
第一章 邪馬台国は二つあったかーーー大和と筑紫の女王卑弥呼
第二章 神武は何度東遷したかーーー記紀神話と初期大和政権
第三章 応神天皇はどこから来たかーーー河内王朝と朝鮮半島
第四章 大王アメタリシヒコとは何者かーーー馬子と推古と厩戸皇子
第五章 天智と天武は兄弟かーーー対立から見た白村江、壬申の乱
第六章 カリスマ持統の狙いは何かーーー不比等と女帝たちの世紀
- 感想投稿日 : 2023年5月24日
- 読了日 : 2023年5月24日
- 本棚登録日 : 2023年5月24日
みんなの感想をみる