二歳のオス猫・ミスジ、人間なら24歳くらい。
前任者の順松(よりまつ)兄貴が行方知れずになったため、頭領からこの町のあたらしい「傀儡師(くぐつし)」に任命された。
傀儡師とはつまり、傀儡(くぐつ)たる人間をうま~く操って、猫のために働かせる技を持った猫だ。
傀儡師(猫)と傀儡(人)は、1対1でバディを組む。
人間のほうは、うまく使われていることに気づかないのが前提。
とても面白い設定。
猫のために働かせているというが、同じ町に暮らす以上、猫の問題と人の問題は複雑に絡み合っている。
とはいえ、人の掟(法)と猫の掟は異なるから、同じ事件を別の思惑で解決を願ったり、別のやり方で成敗したりもする。
ミスジがいくつかの事件をこなしながら傀儡師としての仕事に慣れ、傀儡の阿次郎との信頼関係を築いてきたあたりで大きな事件のうねり。
阿次郎の飼い猫・ユキ、ミスジの宿敵・烏の三日月、ミスジに大きな影響を与えた兄貴分の順松のキャラクターもいい。
時雨さんが気になるなあ…何か知ってるの?
続編、当然ありますよね?
『猫の傀儡(くぐつ)』
ミスジ、初仕事。
三町目の“キジ”の訴え「花盗人の疑いを晴らしてくれ!このままでは三味線にされてしまう!」
ついでに縁結び2件。
『白黒仔猫』
“母さん(飼い主)”と白猫、子沢山母猫と黒猫、こじれた母親と娘。
ミスジ、烏から仔猫を救う。
『十市と赤』
知恵の遅れた十市と、老猫・赤の絆。
阿次郎の正義感と憤り。
『三日月の仇』
動物に残酷な仕打ちをする人間の子供。
ミスジ、天敵である烏を助ける。
『ふたり順松』
猫の順松と、辰巳芸者の順松、両方の行方不明にかかわりはあるのか。
物語、大きく動く。
『三年宵待ち』
商家の次男と三男の兄弟愛。
『猫町大捕物』
戻ったものと、戻らないもの。
時雨の言葉に、ミスジは少し救われ、兄貴・順松の思いを受け継ぐ。
- 感想投稿日 : 2017年9月15日
- 読了日 : 2017年9月15日
- 本棚登録日 : 2017年9月15日
みんなの感想をみる