この本は読む価値がある。言葉では表現できない知識、暗黙知が、島国で多くの体験を共にしてきた日本庶民の間には存在する。この暗黙知が日本文化の奥行き、複雑性、多様性を形成してきた。戦後、震災前、失われた20年の経験の中で、論理で二択を迫る圧倒的な米国文化や、アジアの台頭に自信を失いつつある日本ではあるが、世界からみれば、あらゆる面で超先進国であり、世界をリードするべき立場にある。それにもかかわらずなぜ日本人はもっと日本を主張をしないのか、世界は不思議がっている。白人絶対主義からアジア人に人種平等を勝ち取った日露戦争勝利の意義、首脳会談キャンセルの脅しを盾に李登輝氏の日本入国・公演キャンセルを迫った胡錦濤氏に毅然たる態度で反対した安倍晋三元首相、中国重慶でのアジアカップサッカー時のサポーターの態度をみて北京オリンピックで使用されるはずであった砲丸提供を断った日本人砲丸職人の心意気。ぐっとくるエピソードが満載で、日本人であることが誇りに思えるような一冊。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ビジネス
- 感想投稿日 : 2012年4月21日
- 読了日 : 2012年4月21日
- 本棚登録日 : 2012年4月21日
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