新装丁版のヴェニスの商人を読みました。
訳し方が詩的な雰囲気を残しつつ今風になっていて、読みやすかったです。
しかし前に読んだときと何も変わらないのは、私がヴェニスの商人アントーニオよりも金貸しユダヤのシャイロックが好きであるということ。
アントーニオは保証人となりシャイロックと契約を交わした結果、彼は約束の金を用意できませんでした。
ですからシャイロックとの取り決め通り、アントーニオは心臓に近い肉1ポンドを切り取られなければなりません。
外人との貿易で経済が成り立つヴェニスでは、外人とて法律はきっちり施されなければなりません。
それなのにアントーニオの取り巻きはシャイロックの慈悲を乞う。
それが当たり前であるかのように。
なぜでしょうか。
私は読了してもなお、シャイロックの言い分が正しく、彼は肉を貰うべきだと思っています。
キリスト教徒だから、ユダヤ教徒だから…くだらないです。
ヴェニスでは何人たりとも法の下に平等なのですから。
…という意見を税理士の友人に話したところ、人の手に余る契約を仕掛けた方が悪い、とのことでした。
私にとっては悩ましい戯曲の一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2010年11月18日
- 読了日 : 2010年9月3日
- 本棚登録日 : 2010年11月18日
みんなの感想をみる