水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房 (2009年12月7日発売)
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本棚登録 : 456
感想 : 83
4

こういう作風の作品だと、どうしても乱歩だの、横溝正史と比べてしまう。だから期待値も上がるしガッカリしやすい。
昔の作家は基礎の教養やボキャブラリーのレベルが違う。その上にあの文章力と圧倒的な世界観がある。過去の鬼才達の怪しの世界と比べると、どうしても平成の若手は見劣りしてしまう。特に伝奇的な世界を綴る場合には。この著者の一作目を読んだ時、あまりのペラペラ感にガッカリし二度と読むまいと思った。でもこの作品を読んだら腕が上がってる。横溝など忘れてあまり期待せず読めばかなり気持ち悪くていい感じの雰囲気が出ている。ミステリーとして面白く、ドンデン返しとか意外な犯人でいえば横溝より好みだ。あの人の小説は謎解きはかなりショボかった記憶がある。だからトータル的には結構楽しめる娯楽小説だ。もう少し日本語を磨いて粘っこく湿度の高い怪奇性を高めてほしい。探偵一行が現代の軽いお兄ちゃんのようで興ざめ。探偵の魅力が足りない。ホームズも金田一も、探偵の魅力に助けられてる部分大なんだから、なんとかからないものか。勿体無い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年4月17日
読了日 : 2011年4月16日
本棚登録日 : 2011年4月16日

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