個人的には読みやすい文体だったし、舞台であるバンコクにも馴染みがあるのでスッと内容が入ってきた。後半はただただ切なく、読了後はなんとも言えない気持ちになった。
海外生活の経験がある身としては、現代とは時代が違うとはいえ、異国の日本人社会に関する描写がリアルに感じられた。
主人公が本当に恋をしていたのは沓子の方なのだと思うが、自分が同じ状況になったとして、あそこで全てを捨てて沓子を選べる男がどれだけいるのだろうか。終わりが来ることがわかっているからこそ、あそこまで燃え上がることができた。別れたからこそ、その後も良い思い出として心に残り続けた、ということではないかと思う。もし沓子を選んでいたとしても、その後の人生で光子のことを思い後悔したのではないか。
自分は人生の最期に、愛したことを思い出すのか、愛されたことを思い出すのか。
マンダリンオリエンタルバンコクにいつか行ってみよう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月1日
- 読了日 : 2021年12月1日
- 本棚登録日 : 2022年6月22日
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