第9条護憲派の筆頭として鉄板の理屈でその正当性を学べると大いなる期待をかけたが、それはさすがにも大きすぎたようだ。確かに国際法と国連憲章を基準にして見れば説得力があるように感じるが、肝心の国際法と国連憲章の正当性や理念はあろうとも、支配力や拘束力が現在ではあまりにも脆弱ではないか。少しばかり残念であった。
大きく知見を得たのは憲法という生活にも倫理にもアイデンティティにも関わる大きなことに対して単純に感情論やわかりやすさや素朴さで臨むことはとても危うい行為だということ。著者は頻繁に「素朴さ」という言葉で柔らかく表現しているが、つまりは知識や歴史や熟議を疎かにした愚かものということだろう。つまりは馬鹿ということだ。
最後の最後でこの馬鹿に対してすら尊重対処していくといくべきを述べているが、むしろとても高いところからの上から目線で思わず笑ってしまった。
面白くてためになるがかなり意地悪であることも確か。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2021年5月9日
- 読了日 : 2021年5月9日
- 本棚登録日 : 2021年5月8日
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