レ・ミゼラブル (ジュニア版・世界の文学 18)

  • 金の星社 (1968年1月1日発売)
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感想 : 2
5

 確かに読んだ覚えがあるのにストーリーが思い出せず、手っ取り早くジュニア版で再読(かなり簡略化されているので、細かい心理描写は想像するしかないが)。
 パンを盗んだ上に冤罪を着せられ、更に脱獄の罪が重なって19年もを監獄で過ごしたジャン・バルジャン。司教さんの言動で生き方を変え、功徳を積んでも、過去の罪は永遠に拭われないのか。過去に犯した罪の重さを表すものが刑事ジャベルの存在だとすれば、現在のジャン・バルジャンが善良と改心により得たものがコゼットとその夫となるマリュスという存在。罪ゆえの存在ともいえるジャベルそのものには勝つことができても、「善」の存在はあまりに脆く、そして過去の罪はあまりに重く(それにしてもパンひとかけらで、というのはあまりにも可哀相だが)、命をかけて守った「善」はいとも簡単に離れていきそうになる。そしてやっと死の瞬間に彼は救われる。当時のフランスという時代背景があったからこそ、この報われない感と博愛の美しさが心に響くのかもしれない。
 それにしても、パリで「下水道博物館」を見た後に読むと、下水道で死ぬ思いをする場面が現実味を帯びる。今でも匂いを思い出せるほど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(ラテン、その他)
感想投稿日 : 2011年12月18日
読了日 : 2011年12月18日
本棚登録日 : 2011年12月18日

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