ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2017年2月4日発売)
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本棚登録 : 602
感想 : 72
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選挙中から、そしてこの本を手にするまでずっと、「なんでアメリカ人はあんな暴言ばっか吐いてる人を大統領にしちゃうんだろう?」と思っていた。
でもこの本を読んで納得した。
ニューヨークやロサンゼルスのような大都市以外の地域には「学校を卒業しても職が見つからない」、「仕事をしても生活が苦しい」、「ミドルクラスから落ちてしまいそうだ」、「今までの職業政治家では変わらなかった」と不満を募らせてきた市民が多く、そんな中で「仕事を奪っている移民を追い出す」、「強いアメリカを復活させる」、「献金を受け取らない自分は利益団体の言いなりにならない」と言うトランプが出てきて多くの人が支持した。
だいたいこんな感じなのだろうと思う。
「昔は良かった」的な人が沢山登場するけど、「石炭を使えば全てが良くなる!」なんてのは笑ってしまった。昔のアメリカは圧倒的な物量で他国より優位に立ったし、単純労働者も裕福になることができたんだろうな。それで、産業構造の変化した現代においてもその感覚を忘れることができない人が多いのかなと思った。アメリカで製造業を復活させると言ったって、アメリカ人従業員に高給払いながら作った製品じゃよっぽどの付加価値でもなけりゃ厳しいでしょ。
結局金持ちが尊敬されるという風土が根付いてる以上、一部の金持ちが社会的に高い位置に立って、金持ちがより金持ちになるような社会を作っていくんだろうと思う。金以外に他に共通の価値観がないんだろう。
アメリカが格差を強めていったとしても、日本は追随して欲しくない。
トランプの今後はどうなるんだろうか。二期目はあるのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2018年
感想投稿日 : 2018年3月25日
読了日 : 2018年3月23日
本棚登録日 : 2018年1月29日

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