R1.11.4 読了。
2025年問題。超高齢化社会を迎えようとしている日本。そして認知症患者も急増するといわれている。年を重ねて老いることは、社会悪で不幸せなのかと不安にも感じてしまうことも正直あった。
この本の中では、認知症や脳梗塞の後遺症などの障害がある人でも関わり方次第で生き生きとしてくる姿が描かれていた。
またこの本が書かれた1998年と比較して、自分の周りの老人介護の現場は劇的には変化していないと思う。自分は高齢者とどう向き合っていけばいいのだろうか?まずはNPO法人のディサービスなどを見学してみようかなと考えている。
でも、こういった介護現場の現状を示してくれるエッセイは貴重だと思った。
・「人間が丸くなるどころか、人格が完成するどころか、年をとると個性が煮つまるのだ。まじめな人はますます真面目に、頑固な人はますます頑固に、そしてスケベはますますスケベに。」
・「看護の3Kは権威主義、管理主義、科学コンプレックスではないか、なんて皮肉をいったこともある。」
・「この仕事のほんとうの大変さは、そのきつくて、臭くて、汚い仕事をとおして、老人をダメにする力も、逆に生き返らせる力も持っているということなのである。その怖さがあることが、大変なのである。」
・「企業の良し悪しを知りたければ、社長の語る理念ではなく、その企業の下請けや納入業者の声を聞けばいい。」
・「いくらいい家族に囲まれていても、家から1歩も出ないという生活をしていると、人間は元気がなくなるものなのだ。」
・「人が元気を出すには仲間が必要なのだ。自分と同じように年をとっており、同じように障害を持っている人との、横の人間関係が必要なのである。」
・「老人のゆったりしたペースに私たちが合わせるとき、老人たちはの目は生き生きとしてくる。逆にこちらのペースで老人に関わるとき、老人たちの目は虚ろになってくる。」
・「老人たちは、私自身のこれから訪れる老いとの付き合いかたをも教えてくれたし、老いる前に、老いを内包した生き方をも考えさせてくれたのである。だから多くの介護職たちは、老いと出会ってよかった、という。」
- 感想投稿日 : 2019年11月4日
- 読了日 : 2019年11月4日
- 本棚登録日 : 2019年10月22日
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