青空のむこう

  • 求龍堂 (2018年10月25日発売)
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本棚登録 : 779
感想 : 46
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古い友人が好きな本。
シンプルに、今を生きる大切さを教えてくれる。1分先の未来に後悔のないように。

早くに父親を亡くしたその友人は、この本に大きく影響を受けて乗り越えたんだと、もしくはそれからの生き方を決めてきたんだと感じた。その友人と喧嘩をしたら、喧嘩をしたまま別れることができない。泣きながらも私の腕を掴んで離さない。ある程度話を落ち着かせてから帰らされることになる。当時はその行動が鬱陶しくも感じた。なんとなく感じとってはいたが、この本を読んで改めてその行動の理由を確信した。喧嘩をしたまま別れると、この後何が起こるかわからない、後悔したくないからだと。

自分の経験上、大切な人を失くした時、何かしら必ず後悔をする。どれだけベストを尽くしたとしても、私は必ず後悔をする。何かできる事があったんじゃないか。だけど、少しでもその後悔の数を減らしたいと思う。だから今、自分と目の前にいるあなたと過ごす時間を大切にする事で少しでも報われるのではないかとも思う。

子ども時代にこれを読んでいたらどのように感じたのだろうか。「生」と「死」がよくわからなかったあの時期に何を感じたのだろうか。大人になった今も正直何かはわからない。それでも年齢を重ねた今の自分は、むしろ「死」に対して考えさせられているように感じる。「もういつ死んでもええわ。みんな、おおきに。」と言っていた90代半ばだったおばあちゃんの言葉を思い出す。私にとっては衝撃の言葉だった。自分は「死」を前にして、この言葉が言えるだろうか。まる1世紀近く生きた自分の人生、「あの時こうすればよかった」「そうや、あの時‥」と悔いが一つもないわけがない。あんなこともあった、こんな事もあったと言いたくなる事柄を一切無かったことにして、すべてをひっくるめて「感謝」に変換して「死」を迎えられるだろうか。残した人に後悔をさせない生き方ができるだろうか。

前半は、児童書になれていないからか、一つの場面からなかなか次の場面へと切り替わらず、想定外のテンポで、繰り返される同じような言い回しが続くループで苦しんだ。後半からは、読み方に慣れてきたのか、そのゆったりとした世界観に入ることができた。まるで自分もフワフワとした雲の上に浮いているような、暑くもない寒くもない心地の良い空間でいるようにも感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月24日
読了日 : 2023年4月18日
本棚登録日 : 2023年6月24日

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