ホークス3軍はなぜ成功したのか?~才能を見抜き、開花させる育成力~ (光文社新書)

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  • 光文社 (2020年4月30日発売)
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感想 : 4
5

今年も圧倒的な強さで日本シリーズを制したソフトバンク。セ・パの実力差を如実に感じるところもそうだが、近年のソフトバンクは育成出身で台頭した選手が活躍していることが気になっていて、ちょうどそうした本が4月に出ていたので、その仕組みやメカニズムが知りたくて読了。

結論としては非常に学びが多くてよかった。
この書籍で出てくる主な人物としては、育成選手の代表格である千賀投手、甲斐捕手、周東選手などだ。育成の世代ごとに特徴があり、環境の差があるが、全ては千賀という成功例が重要だったと思う。
また、そのためのスカウトの仕組みに関しても名古屋の運動具店の話で語られる。

育成のロジックとして、一芸に秀でた選手を獲得、育てるという観点は言うは易しだが、行うは難しは想像に難くない。そのためのキーマンがいることも重要だった。

また、王貞治というレジェンドの存在も重要なことがわかる。そして、その王さんを連れてきた根本さんが描いたグランドデザインが今まさに実っているという事実。これを知れたのはよかった。

しかし、これは再現性はあるだろうが、かなり環境を整えたり、投資が必要だったり、時間を要したり、必要な人材ピースがあったりとハードルは高い。エッセンスをうまく取り込んでいくのが良いだろうな。

奇しくも過去の終身雇用企業の日本企業で総合職がうまく言っていたのが、その現場における育成だったということもあったと思うが、育成ということが一つの成功事例として令和に出てくるのは面白いものだ。

色々と知られてしまってソフトバンクの成功もこれまでよりも出にくくなるとは思うが、積み上げてきたものもあるので、しばらくは盤石そうだなと感じた。
オススメの一冊。

目次
序章「俺を使え」
第1章 3軍を創る
第2章 逸材を探せ
第3章 名古屋の運動具店
第4章 四国を沸かせた強肩
第5章 たたき上げのプライド
第6章 育成契約はリスクではない
第7章 野球の街
第8章 甲子園を超える
第9章 名門校からホークス3軍へ
第10章 イチローよりも速い男
終章 宮崎の白梅

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年12月13日
読了日 : 2020年12月13日
本棚登録日 : 2020年12月13日

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