年を取ったせいか、妙に涙脆い。ロードス島伝説の完結編となる本書を読み終えた今、本編のロードス島戦記とは打って変わって、ペシミズムが全体を覆っているかのようだ。
魔神王を倒した六英雄たちのその後に輝かしい未来はなく、隠棲を遂げる者や再び合い見え、討ち死にする者、自らを犠牲にする者、各登場人物全てに諦観が漂う。
事を成し終えた後に何が残る?
常にその疑問を孕んで生きていくのだ。
前4巻までは悲劇の英雄ナシェルの物語だったが、今回は添えられた短編も含め、悲劇の聖女フラウスの物語となっている。しかし、フラウスの設定は本シリーズ当初に比べ、かなり変わった。
当初は勝ち気な聖女という設定で神話のヴァルキリーさながらだったが、本書に至ってはベルドに身を捧げる一人の女である。ロードス島戦記シリーズで既に彼女の結末は知っているだけにどう転んでも哀しい結末にしかならないのだが、最後の最後にフラウスが天使になって登場し、ファーンとベルドを導くあたりのメルヘンチックな結末は流石に悲惨すぎると作者も思ったのだろうか、ご愛嬌だろう。
ともあれ、とうとう終わってしまった。出来ればもう少し彼ら・彼女らの道程が明るいものであれば良かったというのが正直な感想だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ファンタジー
- 感想投稿日 : 2020年8月3日
- 読了日 : 2020年8月3日
- 本棚登録日 : 2020年8月3日
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