さくらももこ氏が憧れてやまないル・カインという画家についてその作品との出逢い、そして彼の足跡を追ってイギリスに行き、そこでの体験記を綴った作品。
私は寡聞にして知らなかったが、結構外国では有名なこの作家、さくらももこ氏がちゃかさずに真っ向から1つの事(この場合は画家)について熱い想いを語ったのは初めてではないだろうか。とはいえ、内容はやはりさくらももこのエッセイである、ギャグ無しで纏められてはいなかった。
しかし、さくらももこが曼荼羅のようなイラストを書くのは、アジア、特にインドの影響が強いのかなと漠然と思っていたのだが、まさかフランスの画家の影響とは知らなかった。文庫ではなかなかその作品が放つオーラ、迫力、緻密さが推し量れないのでそこが惜しまれる。
また巻末のふろくに付けられたインタビューもさくらの絵に対する思いがストレートに感じられ、なかなか読ませる。
しかし、当初はル・カインの旧知の方々を訪ねてその人となり、彼に対する想いを共有するのが目的でイギリスに行ったはずなのに邂逅の時に居眠りをしたり、予定外のウェッジウッド工場見学の方がやたら元気で充実していたりするのはもはやこの作者の人柄でしょうな、愛嬌、愛嬌。
しかし、さくらももこのように歳を取ってもいつまでも絵に感動する、そんな感受性をずっと持っていたいものだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2020年12月24日
- 読了日 : 2020年12月24日
- 本棚登録日 : 2020年12月24日
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