乱歩氏の目指す本格というものがよく解らなくなったというのが本書の正直な感想。
がちがちの本格というよりも恐らくは当時乱歩は海外ミステリでよく行われていた「どんでん返し」の趣向に強い憧れを持っていたのではないだろうか。つまり一筋縄ではいかない結末を用意することに固執していたように思われる節がこの短編集では散見される。
しかしその趣向が上手く機能しているとは云い難く、はっきり云って蛇足に近い。二流の作品で終える予定が三流の作品に貶めているように思う。つまり最後の結末があまりにしょうもなさ過ぎるのだ。
ここに至り私は、乱歩氏は本格推理小説家としての才能は初期の短編の一握りの物にしか見られないと判断する。
乱歩氏は本格推理小説を最も書きたがった通俗ミステリ作家だったのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリ&エンタテインメント(国内)
- 感想投稿日 : 2020年10月28日
- 読了日 : 2020年10月28日
- 本棚登録日 : 2020年10月28日
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