『乱れからくり』と並んで初期の泡坂の代表作と評される本書は、やはり時代の流れか、当時の読者諸氏を唸らせた衝撃はもはや薄れてしまっていた。価値の多様化が顕著になった昨今では、同性愛が真相のファクターであることが特に奇抜さを齎さなくなってしまった。
しかし、それでも尚、作者は手練手管を使って読者を煙に巻く。
女が男に化けて女をイカせる。この謎の解明は素晴らしい。
しかし本作を読んで痛感したのは、時代がオープンになればなるほど、我々の常識が崩され、謎という暗闇が小さくなってしまう事だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリ&エンタテインメント(国内)
- 感想投稿日 : 2019年4月21日
- 読了日 : 2019年4月21日
- 本棚登録日 : 2019年4月21日
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