昔、たぶん高校の倫社の授業だったと思うが、「倫理や常識は法に優先する」という話を聞き、(その時は)はっとさせられた記憶がある。大人になり、世の中に蔓延るルールやらコンプラやらが面倒になっていくにつれ、ずっと脳裏をかすめ続けてきた台詞でもある。(気が付けば、ルールの隙間を埋めるために、さらにルールを作って埋め込む事の繰り返しである。もっとメタな判断基準があるはずだ・・・)
本書を読んで、こうした「引っ掛かり」が大分すっきりし、楽になった。
「倫理」とは何で、どうやって伝え、説明すべきものなのか。この主題は、本書の前半で語りつくされた感があり、結局のところ、理屈で考えても答えがないものがたくさんあり、それを受け入れなければならない。後半は、少し難解なところもあるが、読み応えのあるエッセイ風の文章が続く。社会~人間~道具の関係性に踏み込み、〈物のの勉強〉と〈記号の勉強〉を分別した枠組みから、生きることの価値観を見出していくくだりは、かなり引き込まれた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書 人文系
- 感想投稿日 : 2012年7月2日
- 読了日 : 2012年7月2日
- 本棚登録日 : 2012年6月28日
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