授業研究入門 (シリーズ子どもと教育 子どもと教育について学ぶ)

  • 岩波書店 (1996年4月24日発売)
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感想 : 6

【概要】
Ⅰ(前半:佐藤学著)では、事例を通して、よりよい授業がどういったものかを問い直す。子どもたちの多数の考えが共振しあう授業を実現するには、一方的な「1対マス(みんな)」ではなく、「1対1」を基本とした「1対多(それぞれ)」の関係性が必要。また、計画通りの「上手い授業」ではなく、「まさに今ここで」生起する「出来事」にいかに関心を持てるかが重要。そこでは即興的な対応力が求められる。
 Ⅱ(後半:稲垣忠彦著)では、授業と授業研究を日本の歴史の観点から確認する。従来の授業は「技術的実践」であり、どんな状況でも有効な唯一のプログラムを実践するものであった、しかしこの方法では、定型化、マニュアル化、同化が進み、各教師固有の良さが出ない。一方、「反省的実践」では、実際に起こったことに対して、これまでの体験によって培った暗黙知を駆使して省察していく。ここでは、内面でどのように思考や判断(見えない実践)をするかが重要。省察のため複数人で行う授業研究を行う場合のポイントとしては、「1つの正解を求めない」「皆が対等、かつ色々な立場で意見を言う」「審査会ではなく、成長の場」「教える・教えられるという関係ではない」といったことが挙げられる。

【TFJの活動に活用できる場面】
・FBerの考え方
表面上だけではなく、その教師・子どもの内面がどのようであったかを見る事例が記載されており、その観点がFBerとして使える。
・FBそのものの行い方
授業研究では、上下の関係ではなく多様性を求めており、これもFBerの立場に対する一つの考え方として受け取ることができる。また、授業の映像を皆で見ながら議論する方法は現在ならもっと簡便に有効利用できそうである。

【関連図書】
『シリーズ 授業(全10巻)』稲垣忠彦
http://booklog.jp/item/1/4000041231

『教師が変わるとき・授業が変わるとき―三本木小学校における授業研究の軌跡』武田 忠 伊藤 功一
http://booklog.jp/item/1/4566051242

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 教員力_基礎編5冊
感想投稿日 : 2012年4月7日
本棚登録日 : 2012年1月10日

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