もとは『近代の正統性』の題辞の出典を確認するために手にとった本。しかし思いの外引き込まれる内容だった。自らが私生児であることに気づいて家出するベルナール、その友人オリヴィエ、その兄弟ヴァンサンと彼をカモろうとするパッサヴァン伯爵、ヴァンサンが療養地で妊娠させたローラ、オリヴィエを愛してやまない小説家エドゥアールなど、多彩な人物が登場するが、彼ら同士に何かしらの接点があるために物語全体にはそれなりの脈絡が付いている。しかしそれ以上に、この小説の構想としか思えない内容を劇中の小説家がしゃべるといった手法が散りばめられており、意外感を持たせる筋書きになっている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2017年10月9日
- 読了日 : 2017年10月9日
- 本棚登録日 : 2017年10月9日
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