ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

  • 日経BP (2010年7月22日発売)
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強大な企業が衰退するステップとして、著者は以下を指摘して
います。

 第一段階:成功から生まれる傲慢
 第二段階:規律なき拡大路線
 第三段階:リスクと問題の否認
 第四段階:一発逆転策の追求
 第五段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

このなかで、私が一番気になったのは「第三段階」。
こんなふうに著者は表現しています。

 この段階には指導者は悪いデータを小さくみせ、良いデーター
を強調し、曖昧なデーターは良く解釈する。上にたつものは
後退の原因として外部要因を指摘するようになり、自分で
責任を引き受けようとしない。業績が好調だったときの経営
陣は、事実に基づいて活発な議論を戦わせていたが、そうした
議論は低調になるか、まったくみられなくなる。

ドキッとさせられます。おかしなこと、厳しい現実に目をそらし、
他責にしていてはダメなんですね。
我が社も気をつけなければいけませんね。。。

著者は、上記の衰退ステップに陥った企業でも、その事実を
理解し再建にむけて資源を活用すれば反転は可能と主張して
います。

この本の終盤で、著者が示した希望の言葉が下記。
染みますね。。。

・真に偉大な組織がそこそこ成功を納めているにすぎない
 組織と違う点は、困難にぶつからないことではない。一時
 は後退しても、壊滅的な破局にぶつかったときですら、
 回復して以前より強くなる能力をもっていることである。
 (中略)
 完全に打ちのめされて退場するのではいかぎり、つねに
 希望がある。

・決して屈服してはならない。戦術は変える意志をもたなけれ
 ばならない。だが、基本目的をあきらめてはならない。
 たとえ自分が長く苦労した部門を閉鎖することになっても、
 失敗に終った事業アイデアは放棄する意志をもたなければ
 ならない。だが、偉大な企業を築くというアイディアは決して
 放棄してはならない。これまでとは重なる点がまったくなく
 なるとしても、違う事業構成へと進化していく意思をもたな
 ければならない。だが、自分の企業文化を特徴づける原則は
 決して放棄してはならない。創造的破壊が不可避であること
 を受け入れる意思をもたねばならない。だが、みずからの
 将来をみずから作り出す規律は決して放棄してはならない。
 損失を受け入れ、痛みに耐え、一時的に自由を失う意思を
 もたなければならない。だが、いずれかならず勝利するとの
 確信は決して放棄してはならない。過去の敵とも手をつなぎ、
 必要に応じて譲歩する意思をもたなければならない。だが、
 基本的価値観は決して、絶対に放棄してはならない。
 暗闇からの脱出の道は、このように腹立たしいほど頑固な
 人物、そもそも屈服することができない人物からはじまる。
 強烈な敗北を喫するのはやむをえない。永続する企業や社会
 団体なら、その歴史のなかでほぼかならずそういう時期が
 ある。だが、長期にわたって苦闘する価値があるのは価値観
 と目標があるからであり、これを放棄してはならない。失敗
 とは外的な状態ではなく、心の状態である。成功とは、
 倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることで
 ある。

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感想投稿日 : 2012年7月21日
本棚登録日 : 2012年1月6日

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