ぼくたちは見た: ガザ・サムニ家の子どもたち

著者 :
  • 彩流社 (2011年8月3日発売)
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感想 : 6
5

2001年頃、ガザに行ったことがある。
そこで現地の人に聞いた話はこの本と同じ内容だった。パレスチナは40年前から今に至るまでずっと強奪と虐殺にさらされ続けていると彼らは言う。
例えば労働禁止されている中食べ物ないので畑に行った人は射殺される。街にはよく戦車が来て特に理由もなく砲撃し、パレスチナ人の住居を機関銃で撃ちまくる。死者負傷者に大人子供の区別はない。パレスチナ人の負傷者を回収しようとする赤十字の救急車はイスラエル兵の銃撃に阻止される。街や道路はたびたびイスラエル軍に封鎖され、仕事に行けなかったり物資が入ってこなくなる。俺たちに死ねと言うのかと封鎖ゲートで抗議するパレスチナ人にイスラエル兵は言う。そうだ。お前たちはそこで死んでゆけ。
なぜイスラエルはナチスに受けたこと以上のことを他者に行えるのか、そしてなぜそれがずっと現在進行形で続いているのか。
この本は世界の一辺を描写することに務めていて、それ以上のことは何も語らない。政治的主張も行われない。ただインタビューの積み重ねがあるだけだ。だが読後の読者の胸に強烈な衝撃を刻み込む。
この本の存在を知った人は、必ず読むべき本だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2012年1月5日
読了日 : 2012年1月5日
本棚登録日 : 2012年1月5日

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