正義論や政治的リベラリズムを紐解くのは荷が重いなか、功利主義以外の妥当な政治哲学のオプションとして外せないジョンロールズを一旦俯瞰することができた。
読んでみると、上記に該当するロールズの試みは特に正義論という感じであり、射程の長い基礎理論として、分析哲学的道具立てからアプローチしているように思える。
他方、実際の政治的複雑さは当然にシンプルな前提から導出される正義論の範疇には収まらず、以後の著作で射程を限定したなかで立憲デモクラシーを擁護することになったと解される。
リベラリズムというイデオロギーの擁護(もちろん、リベラリズムがその性質上特定のイデオロギーの擁護を所与とせず、ロールズ流に言えば「合理的理性」により多元的な価値観のなかの共通する部分を以って正義となすのだとは承知するとして)に特に関心のない私にとっては、本書で説明されるロールズがたとえいかほどにアクチュアルだと説かれても、正義論より後のロールズには強い関心を持てなかった。
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- 感想投稿日 : 2023年2月26日
- 本棚登録日 : 2023年2月9日
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